2023年マスターズの200m個人メドレーの全記録調べてみた

マスターズスイマーの200m個人メドレーって何歳ぐらいの人が出てる？

200m個人メドレーの配分ってどんな感じなの？

200m個人メドレーが速い人って、平泳ぎが速い人って本当？

めちゃくちゃ遅くなりましたが、どうしても2024年中に書かないと、情報が古くなるので、無理やり突貫で書きました(笑)

なかなか長文になってしまいましたが、どうぞお付き合いください。(2024年12月31日記載）

以前、50mクロール版を書いて反響が良かったため、２個メの記事も書いてみました。

では早速参りましょう。

2023年200IMデータ一覧

まずはデータをまとめました。「記録数」は泳いだ人数と言ってもよかったのですが、正確さを期すために記録数としました。

例えば、すぐ下にある女子短水路で85~89歳の記録数は「3」になっています。これは1人の選手が3回出場して記録が発生しています。

85~89歳のスーパーおばあちゃんが3人いるわけではありません。

全体で1871件の記録が生まれています。

（ただし、世界マスターズの記録は含めていません）

女子短水路のタイム

発生した記録は延べ330人分でした。

区分	記録 数	平均タイム	Fly 秒	Fly ％	Ba 秒	Ba ％	Br 秒	Br ％	Fr 秒	Fr ％
85～89歳	3	6:20.9	111.6	29	91.8	24	106.0	28	71.6	19
80～84歳	8	5:13.7	77.7	25	80.5	26	90.4	29	65.1	21
75～79歳	14	4:20.0	60.2	23	69.5	27	72.8	28	57.4	22
70～74歳	24	4:16.7	59.4	23	66.7	26	72.9	28	57.8	23
65～69歳	27	3:58.0	54.9	23	62.4	26	67.7	28	53.0	22
60～64歳	42	3:48.9	52.2	23	60.4	26	64.4	28	51.9	23
55～59歳	42	3:40.0	49.4	22	58.2	26	61.7	28	50.8	23
50～54歳	38	3:20.5	44.3	22	53.0	26	56.5	28	46.7	23
45～49歳	42	3:11.1	41.4	22	49.5	26	55.3	29	44.9	24
40～44歳	21	2:54.5	38.6	22	45.2	26	49.2	28	41.7	24
35～39歳	14	2:57.8	38.1	21	46.5	26	51.7	29	41.4	23
30～34歳	12	2:45.9	34.7	21	43.3	26	49.3	30	38.6	23
25～29歳	24	2:40.0	34.2	21	41.1	26	46.6	29	38.1	24
18～24歳	19	2:37.1	33.1	21	40.4	26	45.8	29	37.9	24

女子長水路のタイム

発生した記録は延べ398人分でした。短水路の人数より多くびっくりしています

区分	記録 数	平均タイム	Fly 秒	Fly ％	Ba 秒	Ba ％	Br 秒	Br ％	Fr 秒	Fr ％
85～89歳	4	5:33.7	92.0	27	81.9	25	91.5	27	68.3	21
80～84歳	11	5:24.9	84.1	26	84.7	26	91.3	28	64.7	20
75～79歳	24	4:35.1	62.9	23	75.3	27	77.9	28	59.0	21
70～74歳	34	4:26.3	63.5	24	69.6	26	74.4	28	58.8	22
65～69歳	51	3:57.7	54.3	23	62.2	26	67.4	28	53.9	23
60～64歳	50	3:50.3	51.8	22	61.1	27	66.1	29	51.4	22
55～59歳	46	3:42.8	49.4	22	59.3	27	62.9	28	51.1	23
50～54歳	47	3:22.4	44.3	22	53.3	26	58.5	29	46.3	23
45～49歳	35	3:26.1	44.4	21	54.6	26	59.3	29	47.8	23
40～44歳	33	3:06.4	39.6	21	49.0	26	54.1	29	43.7	23
35～39歳	13	2:57.3	36.8	21	46.4	26	51.8	29	42.3	24
30～34歳	23	2:56.0	36.5	21	46.3	26	52.2	30	41.0	23
25～29歳	18	3:01.6	38.0	21	47.6	26	52.8	29	43.1	24
18～24歳	9	2:57.6	36.4	21	44.9	25	53.1	30	43.3	24

男子短水路のタイム

発生した記録は延べ564人分でした。

区分	記録 数	平均タイム	Fly 秒	Fly ％	Ba 秒	Ba ％	Br 秒	Br ％	Fr 秒	Fr ％
95～99歳	2	11:43.7	227.7	32	148.4	21	206.0	29	121.6	17
80～84歳	4	3:58.3	53.7	23	64.0	27	69.8	29	50.8	21
75～79歳	13	4:01.4	54.4	22	65.2	27	68.6	28	53.3	22
70～74歳	20	3:50.7	50.5	22	61.6	27	65.9	29	52.7	23
65～69歳	25	3:37.8	47.4	22	58.7	27	61.3	28	50.4	23
60～64歳	40	3:15.4	42.0	21	52.0	27	55.7	29	45.7	23
55～59歳	50	3:06.6	40.0	21	49.6	27	52.5	28	44.4	24
50～54歳	59	2:55.3	36.7	21	46.6	27	50.6	29	41.3	24
45～49歳	59	2:47.6	35.0	21	44.4	26	48.4	29	39.8	24
40～44歳	46	2:36.5	32.9	21	40.9	26	45.0	29	37.6	24
35～39歳	41	2:34.9	32.9	21	40.3	26	44.4	29	37.3	24
30～34歳	61	2:26.5	30.6	21	38.2	26	42.4	29	35.3	24
25～29歳	70	2:22.9	29.7	21	37.5	26	40.8	29	34.9	24
18～24歳	74	2:23.7	29.6	21	37.3	26	41.7	29	35.0	24

男子長水路のタイム

発生した記録は延べ579人分でした。こちらも何故か、短水路より多いです。

区分	記録 数	平均タイム	Fly 秒	Fly ％	Ba 秒	Ba ％	Br 秒	Br ％	Fr 秒	Fr ％
80～84歳	8	3:57.3	54.7	23	63.3	27	67.0	28	52.2	22
75～79歳	10	4:08.4	55.6	22	69.1	28	70.8	29	52.9	21
70～74歳	25	3:54.4	51.8	22	63.4	27	66.7	29	52.5	22
65～69歳	42	3:49.2	50.6	22	63.0	27	64.2	28	51.4	22
60～64歳	57	3:19.4	42.2	21	54.3	27	57.7	29	45.3	23
55～59歳	59	3:26.2	44.0	21	56.5	27	58.3	28	47.4	23
50～54歳	93	3:07.4	39.3	21	50.7	27	54.2	29	43.3	23
45～49歳	59	3:00.8	37.2	20	49.3	27	51.9	29	42.5	23
40～44歳	33	2:43.9	33.3	20	43.5	26	47.6	29	39.5	24
35～39歳	51	2:44.4	33.4	20	44.6	27	47.9	29	38.6	23
30～34歳	40	2:34.4	31.4	20	41.3	27	44.9	29	36.8	24
25～29歳	52	2:31.4	29.9	20	39.7	26	45.2	30	36.7	24
18～24歳	50	2:29.9	30.1	20	39.5	26	44.4	30	35.9	24

調べてみてわかったこと

平均など基本的数字

性別	長短	仮平均年齢	平均タイム	Fly秒	Ba秒	Br秒	Fr秒
女子	短水路	52.5	3 ‘ 30 . 14	47.3	54.9	59.8	48.1
男子	短水路	43.7	2 ‘ 50 . 30	36.3	44.8	48.8	40.3
女子	長水路	55.4	3 ‘ 42 . 49	49.9	58.7	63.6	50.3
男子	長水路	47.6	3 ‘ 04 . 52	38.7	49.9	53.2	42.8

まさかの、男女ともに長水路の方が平均年齢は上という結果に。

短水路であれば、以下に平均年齢が収まっています。

女性：50.5歳～54.5歳の間

男性：41.7歳～45.7歳の間

長水路であれば、以下に平均年齢が収まっています。

女性：53.4歳～57.4歳の間

男性：45.6歳～49.6歳の間

長水路の方がターンが少ない分、体力的にしんどいと思うのですが・・・

ちなみに前回書いたクロールの年齢と平均は変わりません。

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短水路と長水路のタイムを比較してみると、やはり男女とも長水路の方が遅くなっています。

ただ、女子平均年齢が50代のなか、下げ幅が12秒ぐらいに対して、
男性側は40代の平均年齢で、下げ幅が14秒も落ちています。

女性の方がディスタンスに向いているのでしょうか・・・？？

日本記録の更新者を勝手に表彰

短水路

女子50～54歳区分のIさん、2分34秒18㊗

男子70~74歳区分のNさん、3分33秒80㊗

長水路

女子45~49歳区分のMさん、2分32秒81㊗

男子70~74歳区分のIさん、2分53秒33㊗

男子60~64歳区分のSさん、2分37秒09㊗

男子35~39歳区分のIさん、2分9秒33と2分8秒72の2度更新㊗㊗

すでに大会会場でお祝いされていると思いますが、改めておめでとうございます！！

やりがちな失格

「200m泳ぎ切ったぞ！」と思って、達成感にあふれているときに

＼先ほど〇組×コースを泳いだ△君は、ターンに違反がありましたので失格です／

なんて会場で放送されたら、凹みますよね。。。

失格になった人は38名（棄権は含まない）です。

失格の種類	件数	具体的内容
メ７背11	5	Brへのターン時に体があおむけでなかった
メ６背10	4	壁から離れた際に、体がうつ伏せの状態だった
メ６平１	3	ひとかきひと蹴りの際にドルフィンキックを複数回行った
競1	3	完泳できなかった
出2	3	フライング

件数が3件以上あったものを表にしています。他は1,2件でした。

私しんじは調べる前には具体的にどんな失格が多いのか想像つきませんでしたが、実際にカウントすると、

と妙に納得しました。

メ７背11はBrへのターン時に体が90度以上傾いてしまうミスを指し、これは個人メドレーに慣れていない人も玄人もやりがちな失格だと思いました。

慣れていない方だと、「背泳ぎは前が見えなくて不安」な気持ちからうつ伏せになってしまう

玄人はバケットターンでミスってしまうパターンかと想像しました。

長水路と短水路ではどれぐらい差が出るのか―ゴールセット理論を引用―

ゴールセットのサイトになります。このページには以下画像があります。

あわせて読みたい

順天堂大学スポーツ健康科学研究科水泳研究室 - 重回帰式 本研究における予測式

上記サイトから1回のターンあたり、何秒変わるかを計算します。

『競技会実施水路』が長水路のとき、100mあたり1.50プラスされます。

ここで100mを泳ぐときのターン回数を数え、ターンが1回多いとどれだけ速くなるのか見てみましょう。

下の図より、1.50 ÷ (3回 – 1回) = 0.75秒/回

となり、1回ターンが増えるごとに計算上0.75秒速くなる計算です。

（ただしターンがタッチターンなのか、クイックターンなのか、種類は考慮していません。）

この考え方で200m個人メドレーの短水路と長水路でのタイムは下表のようになります。

時点	短水路 ターン回数	長水路 ターン回数	長水路から短水路へ 変換したときに引く秒数
50m時点	1	0	( 1 – 0 ) × 0.75 = 0.75秒
100m時点	3	1	( 3 – 1 ) × 0.75 = 1.50秒
150m時点	5	2	( 5 – 2 ) × 0.75 = 2.25秒
完泳時点	7	3	( 7 – 3 ) × 0.75 = 3.00秒

理論上200mを泳いだ時には3秒の差が長水路と短水路で出るはずです。

ここでまた、長水路と短水路の平均タイムをみてみましょう。

性別	長短	仮平均年齢	平均タイム	Fly秒	Ba秒	Br秒	Fr秒
女子	短水路	52.5	3 ‘ 30 . 14	47.3	54.9	59.8	48.1
男子	短水路	43.7	2 ‘ 50 . 30	36.3	44.8	48.8	40.3
女子	長水路	55.0	3 ‘ 41 . 23	49.4	58.4	63.3	50.1
男子	長水路	47.6	3 ‘ 04 . 52	38.7	49.9	53.2	42.8

女子では11秒差、男子では14秒差が出ています。

ゴールセット理論は、大学生or現役バリバリな若い世代にしか当てはまらないのかもしれません。

マスターズ水泳年齢別資格表との比較

水泳の資格級

水泳の実力には資格級という指標があり、(社)日本スイミングクラブ協会が公表しています。

１級から最高20級まであり、年齢区分ごとの平均記録を資格級で表すとどうなるかを調べます。

そして級が高ければ高いほどレベルも高く、激戦区と言えます。

女子短水路

区分	平均タイム	該当する資格級
85～89歳	6:20.9	20級
80～84歳	5:13.7	17級
75～79歳	4:20.0	19級
70～74歳	4:16.7	15級
65～69歳	3:58.0	13級
60～64歳	3:48.9	12級
55～59歳	3:40.0	11級
50～54歳	3:20.5	12級
45～49歳	3:11.1	12級
40～44歳	2:54.5	14級
35～39歳	2:57.8	12級
30～34歳	2:45.9	13級
25～29歳	2:40.0	13級
18～24歳	2:37.1	13級

男子短水路

区分	平均タイム	該当する資格級
95～99歳	11:43.7	90歳以上の記録なし
80～84歳	3:58.3	20級
75～79歳	4:01.4	11級
70～74歳	3:50.7	10級
65～69歳	3:37.8	10級
60～64歳	3:15.4	10級
55～59歳	3:06.6	10級
50～54歳	2:55.3	12級
45～49歳	2:47.6	12級
40～44歳	2:36.5	13級
35～39歳	2:34.9	12級
30～34歳	2:26.5	13級
25～29歳	2:22.9	14級
18～24歳	2:23.7	13級

ただ、この資格級のタイムが短水路な長水路か不明なため、仮に短水路で比較しています。

速い人の種目別ペース配分はどうなっているのか

1:02あたりからの『泳ぐ時間（割合）』が気になりました。

本当にこんな構成になっているのでしょうか？

調べてみました。

新記録樹立者から考える、個人メドレーのタイム割合

上記動画では、「ベストが出るときは、上記のような割合になっている」と仰っていて、

「逆にベストが出ない時は、このバランスが崩れている」とも仰っています。

ただ、結果の数字しかわかりません。

…と皆さんにお一人お一人は伺えませんので

日本記録と大会新記録が出た方は、ベストタイムが出ていたと仮定します。

	新記録男子	全体男子	新記録女子	全体女子
Fly	21.2%	21.0%	21.7%	22.2%
Ba	26.1%	26.6%	26.2%	26.3%
Br	29.0%	28.9%	28.7%	28.6%
Fr	23.7%	23.6%	23.4%	22.9%
記録の数	19	1143	13	728

上記表は日本記録または大会記録を樹立された方々の割合と、全体の割合を比較した表になります。

0.5%の違いがでた部分を赤く塗っています。

男子において新記録を達成された方と、その他の方々の違いは背泳ぎにあり

女子ではバタフライとクロールになります。

「平泳ぎが速ければ、個人メドレーが速い」という定説は当てはまらないようです。

まとめ

200m個人メドレーが速くなるためには、

女子ではバタフライとクロールを、男子なら背泳ぎを強化する必要があります。

ただ、いろいろ仮定を置きすぎて、机上の空論にもなっている気もします。。。

年末年始休みの休み期間中の、良い暇つぶしになれば幸いです。

どこかの大会で、皆さんとお会いできたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

参考文献

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東洋電子システム